文化庁メディア芸術祭

エンターテインメント部門
優秀賞

Dark Echo

ゲーム
Jesse RINGROSE / Jason ENNIS
[カナダ]
Dark Echo
©RAC7 Games Inc.
 
想像力を拠り所に最小限の要素でプレイする、パズル/ホラーゲーム。暗闇のなかで視覚を奪われたプレイヤーは、危険に満ちた世界を音をたよりに進まなければならない。プレイヤーの発する足音は、画面上で線となって視覚化され、障害物に反射し跳ね返ることで、周囲と自分の位置関係が明らかになっていく。しかし、この作品世界を把握する唯一の手段である足音は、音と魂をむさぼる恐ろしい魔物を呼び寄せ、一歩踏みだすたびに魔物が忍び寄り、気がつけばもう手遅れになる。魔物のたてる音を示す赤い線への恐怖心と闘いながら、80ものステージを切り抜けなければならない。ゲーム内の不吉なサウンドは、サバイバルの緊迫感を効果的に高めており、ヘッドフォンを使うともっともその世界観を体感できる。暗闇のなかを探索し、パズルを解きながら生き残ることが要求される、新感覚のゲームである。
贈賞理由
画面は闇。足跡しか見えない。足跡と音と反響する線を頼りに暗闇から脱出するゲームだ。音楽は流れずに環境音だけが響く。放射する線と自分の移動で、地形がわかる。水を散らす足音と狭い通路であることを感知し、ここが地下水路だと想像する。反射する線が赤くなる。ヤバいと思いながら進むと鈍い音、悲鳴、吹きだす音。死だ。敵も、景色も、自分も、何も表示されない。ただの闇の中で、シンプルでアブストラクトな表現が物語を生みだす。赤い線が移動してくる。唸り声。こいつ生きてやがる。
明るい部屋で、スマートフォンを覗きこんでプレイしているにもかかわらず、暗闇に迷い込んでいる感覚に襲われる。ステージ構成も恐怖を増幅させることに集中している。ゲーム性を追求することで、最果ての抽象芸術と原初的な恐怖を生みだした。想像力を刺激するために何をすべきか。それを考え抜いてつくられた力強いエンターテインメント作品だ。(米光 一成)
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