文化庁メディア芸術祭

マンガ部門
優秀賞

弟の夫

田亀 源五郎
[日本]
弟の夫
©TAGAME Gengoroh / Futabasha
同性婚をテーマに、一般社会のなかでのゲイを描いた作品。弥一と夏菜、父娘2人暮らしの家に、マイクと名乗る男がカナダからやって来た。彼は、弥一の双子の弟・涼二の結婚相手だった。涼二はカナダでマイクと同性婚をし、その後亡くなったのだった。「パパに双子の弟がいたの?」「男同士で結婚ってできるの?」と幼い夏菜は、突如現われたカナダ人の“おじさん”マイクに大興奮、たちまち意気投合し仲良しになる。一方の弥一は、しばらく日本に滞在することになったマイクと一緒に暮らすうちに、自身のなかにあった偏見に気づいていく。そして、成長とともに自然と距離ができてしまった亡き弟・涼二への想いを深めていくことになる。海外でも高い評価を得ている作者による初の一般誌連載作品である。

『月刊アクション』(双葉社)
連載開始:2014年11月号~連載中
贈賞理由
日本では昔から人の恋路を邪魔すれば馬に蹴られて死ななきゃならなかったはずなのに、同性愛者の恋や結婚にはいまだ不寛容にも思える。海外でも「ゲイ・エロティック・アーティスト」として評価が高いあの田亀源五郎氏が一般誌で「普通」の人に向けてマンガを描くということで「満を持して」がついに来たとワクワクした。馬に蹴らせるよりマンガを読んで知ってもらったほうが平和で楽しい。マイノリティが全員同じ考えを持つというわけでもないし、どこまでどのように描くか、内と外両方のバランス感覚が要求される。面倒だけれど、あの一本一本おろそかにせず丁寧に描かれる体毛の職人技を見れば作者の誠実さと根気と我慢強さは疑いようがない。そしていつか小学校の教室の後ろの学級文庫に本作が置かれ、主人公の娘・夏菜のような子どもたちが読んで人の恋路を邪魔しない大人に成長するのを期待している。(松田 洋子)
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