文化庁メディア芸術祭
第22回

アニメーション部門

優秀賞

ひそねとまそたん

テレビアニメーション

樋口 真嗣 [日本]

© 2018 BONES, Shinji HIGUCHI, Mari OKADA/DRAGON PILOT
作品概要

航空自衛隊の岐阜基地に配属された、新人自衛官の甘粕ひそねと、戦闘機に擬態するドラゴンのまそたん。国家的な一大神事「マツリゴト」に向けて、ひそねたちが個性豊かな隊員とともに厳しい訓練に励む様子が描かれる全12話のテレビアニメーション。嘘がつけないあまり人を傷つけてしまうことを気にしているひそねと、素直で真面目な性格だが、人見知りをするまそたんの交流がハートフルに展開されていく。『シン・ゴジラ』で監督を務めた樋口真嗣、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の脚本を手掛けた岡田麿里と制作チームがタッグを組んだ。一見、丸みを帯びた単純な線で構成されたような絵柄だが、舞台の岐阜基地内部は、現地への取材に基づいて忠実に描かれており、ドラゴンから戦闘機への変形シーンは、体が少しずつ変化していく様子が丁寧に表現されるなど、随所に見所のある作品となっている。

贈賞理由

マンガやゲーム原作のない完全オリジナル作品。主人公の一癖ある性格設定と地味な印象を与えるキャラクターデザインのバランスがよく、物語のアニメーションらしい飛躍した設定とリアリティを目指した自衛隊の描写のブレンド具合がよかった。飛行シーンの描写もリアルとファンタジーの切り替えが、仮想現実と内臓のそれも含めて成功していた。毎回次の話数が見たくなるひきのあるシリーズ構成や、テレビ放送という現実との関わり方もシリーズならではのものになっていた。テレビシリーズを最初から最後まである一定のレベルで完成させているアニメ作品を見ると、それだけで感心してしまう。もちろん、つくり手の努力とか、時間がないなかで頑張っているとか、予算の割にはすごい仕上がりだとかは、観客にとってはどうでもよく、出来上がったものだけで判断する、それが正しいことなのだが、最後まで失速せずにつくりきられた作品には、それなりの理由があるのではないか。スタッフが頑張ってしまう何かがあったのだと思う。関わったスタッフすべてを称賛したい。(木船 徳光)


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