文化庁メディア芸術祭
第22回

アニメーション部門

新人賞

透明人間

短編アニメーション

山下 明彦 [日本]

©︎ 2018 STUDIO PONOC

作品概要

スタジオポノックの劇場公開映画『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』の一編として制作された短編手描きアニメーション。本作は「アニメーションは絵を動かし、キャラクターに生命を宿す仕事だが、もし動かす人物が見えず、表情すら描かれないとしたら、一体どのような物語が描き得るのか?」という難題への挑戦から始まった。ある朝目覚めると透明人間になっていた男性は、いつも通り家を出るが、職場のスタッフも、コンビニの自動ドアやATMも、重力さえも彼の存在に気がつかない。そんな彼の不安、悲しみ、怒り、そして希望を、繊細かつアクロバティックな表現で描き出した。長きにわたり宮崎駿監督作品の中核を担ってきたアニメーターである作者の自身初となるオリジナル作品。

贈賞理由

主人公が日常で直面する透明体ゆえの出来事を、手描きアニメーションならではのリアリティとデフォルメを合わせたアプローチで、丁寧な描写でダイナミックかつ魅力的に描き出した。透明の顔にまとわりつく雨粒、空気の流れを感じる表現、重力から解き放たれた主人公の躍動、ダークな色彩で抑制されながらも美しく主人公の心の陰陽を見事に具現化した美術、つくり手のディテールへの思いがストーリーを超えて感情を揺さぶる。作者が考える現実と非現実の調和が作品のおもしろさを引き出し、極めて見る価値ある作品に仕上げている。(森野 和馬)

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