文化庁メディア芸術祭
第20回

アニメーション部門

大賞

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君の名は。

劇場アニメーション

新海 誠 [日本]

© 2016 TOHO CO., LTD. / CoMix Wave Films Inc. / KADOKAWA CORPORATION / East Japan Marketing & Communications, Inc. / AMUSE INC. / voque ting co., ltd. / Lawson HMV Entertainment, Inc.
作品概要

『秒速5センチメートル』(2007)や『言の葉の庭』(2013)など、意欲的な作品を数多くつくり出してきた作者による劇場アニメーション作品。山深い田舎町の女子高生・宮水三葉(みやみずみつは)は、ある日、自分が東京の男子高校生になる夢を見る。一方、東京で暮らす男子高校生・立花瀧(たちばなたき)も、山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見る。繰り返される不思議な夢と抜け落ちた記憶や時間から、三葉と瀧は自分たちが夢のなかで入れ替わっていることに気づく。2人は戸惑いながらも現実を少しずつ受け止め、互いに残したメモを通し、ケンカをしながらも状況を乗り切っていく。千年に一度の彗星来訪という出来事を舞台に、少女と少年がお互いを知り、求めあう恋と奇跡の物語。世界の違う2人の隔たりとつながりから生まれる「距離」のドラマを、圧倒的な映像美とスケールで描き出している。作者による緻密なロケーション設定とそれを支える確かな風景描写に、世界観を持った音楽が加わることで、ファンタジックな物語をより強いリアリティとともに表現している。

http://www.kiminona.com/
贈賞理由

アニメーションは、時間の流れの一方向性や3次元空間の距離を容易く飛び超える。その飛び超えが、快感にまで高められるのは、容易くはないだろう。『君の名は。』はそこを見事に成し遂げている。過去にさかのぼり、山頂から麓までを一瞬のあいだに駆け降りてしまうといった奇跡を見せ、感動をもたらす。それはアニメーションされる動きの典型に支えられていよう。また異性の身体に入るという体験は本来ならばとてつもない違和感をもつであろうが、むしろその体験を楽しんでしまう大らかさがある。こころが、違った外観を身につけることに、違和感をもたない現代社会、あるいはむしろそうした外観を積極的に身につけることで新鮮な喜びを発見する現代社会の在り方が見通せる。さらにはこころの出会いを、メディアを媒介することの繰り返しで成し遂げる様相は、現代人の願望の表われなのであろう。アニメーションが現代人のこころの象徴となったことを高く評価したい。(横田 正夫)


受賞コメント

素晴らしい賞をいただきましたことを、スタッフを代表してお礼申し上げます。『君の名は。』はその制作の過程においても、観客からの受容の過程においても、とてもたくさんのことをぼくたちに教えてくれました。いただいたものを次の世代の観客にお返しするべく、スタッフ一同立ち止まらずに次回作にまい進したいと思います。

プロフィール
新海 誠
日本

1973年、長野県生まれ、アニメーション監督。2002年、短編作品『ほしのこえ』でデビュー。オリジナルの劇場用映画のほか、CMやPV等の短編映像等を手がける。

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