文化庁メディア芸術祭
第21回

アート部門

優秀賞

アバターズ

メディアインスタレーション

菅野 創/やんツー [日本]

Commissioned by Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM] 2017 / Co-developed with YCAM InterLab In collaboration with Yushin Suzuki and Takanobu Inafuku / Photo by Kazuomi Furuya Courtesy of Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM]

作品概要

電話やカラーコーン、石膏像、車、観葉植物など大小さまざまな日常的なオブジェクトで構成されるインスタレーション作品。個々のオブジェクトには、カメラ、マイク、モーター、小型コンピューターなどが組み込まれ、インターネットに接続されている。鑑賞者はウェブブラウザからログイン(「憑依」)することで各オブジェクトを「アバター」として操作することができ、オブジェクトの知覚世界を疑似的に体験できる。自分の身代わりであるアバターは仮想空間ではなく現実空間に存在し、そこにいる生身の人間(観賞者)と会話することも可能である。IoT(Internet of Things、モノが直接インターネットに接続し制御される仕組み)化が進み、人工知能が成熟しようとしている現在、自律性を持たない「物」が意思を持った「者」となって世界を知覚し動き出した時、そこに立ち上がってくる新たな関係性を観察する。

贈賞理由

『アバターズ』では、ポストIoT時代のモノの世界を予感させる構想において、他のアーティストとは一線を画したプロジェクトを実現しようとしている。展示空間には、日常の中の大小さまざまなモノが散らばって配置されている。それぞれには移動メカニクスがしこまれており、属性によって空間内の位置や移動する方向を変えていく。鑑賞者は、空間全体を脇から眺めていてもよいが、ネットワークからまずこのプロジェクトに参加することが重要だ。それによって、自身がどのモノにアサインされたかは不明なまま、モノに付いたカメラ(一眼)から、偏向された世界を同時並行に解読し、様々なモノの立場から体感的にバラバラに動き回る。この作品は、脱人間主義のモノ中心の関係世界構築という構想からすると、まだまだ未完な部分も感じさせるが、技術的達成度は非常に高度な水準を実現しており、むしろその未完部分こそがネクストビジョンへの期待を感じさせるのである。(阿部 一直)


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