文化庁メディア芸術祭
第22回

アート部門

優秀賞

datum

メディアインスタレーション

平川 紀道 [日本]

作品概要

空間、色、時間という異なる概念を、それらが統一された高次元空間において対称的に扱うことで、これまでにない映像表現を実現した作品。映像データの各画素を、空間を表すXとY、色の混合要素R、G、B、フレーム数にあたる時間Tの、6つの数値を空間座標として持つ点として捉えると、映像中の全画素を6次元空間に浮かぶ点の集合と考えられる。これに任意の回転を加えると、色の階調、曲線、それらの時間変化が、互いに変換され、渾然一体となるが、点同士の関係は回転によっては破壊されず、回転角0度では元の映像に戻る。本作は、2016年の、東京大学国際高等研究所内のカブリ数物連携宇宙研究機構(IPMU)における滞在制作中に、弦理論や素粒子論、理論物理の研究者たちとの対話のなかで出会った「次元」という言葉に着想を得たプロジェクトの最新作(2018年2月時点)で、チリのアタカマ砂漠にあるアルマ望遠鏡周辺でのインターバル撮影で得られた映像が用いられている。

贈賞理由

他者、とりわけ最先端の数学者や物理学者たちとの対話を通じて磨かれた独自かつ普遍性のある発想、その発想を実現する確かな技術、さらにそうした技術を意識する暇を見る者に与えないほどの圧倒的な表現。しかも、それらすべてにおいてきわめて高い水準にあるにもかかわらず、今後のさらなる可能性をも感じさせる作品であること。それが優秀賞の理由である。人間的なそれとは別の「次元」の導入によりもたらされる動的な像に、我々が驚きや美を感じるとしたら、そこにある「美的なもの」とは何であるのか?またその美は、自然や宇宙、そして(地球内外の)生命とその進化に、どのように結びついているのか?本作は、そうした問いに我々の目を開かせてくれる。その意味で本作は、真正の芸術作品なのである。(秋庭 史典)

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