文化庁メディア芸術祭
第20回

アート部門

新人賞

DCT: SYPHONING. The 1000000th interval.

映像インスタレーション

Rosa MENKMAN [オランダ]

© Rosa Menkman
作品概要

画像圧縮アルゴリズムを物語として描いた作品。「DCT」は画像の圧縮に用いるDiscrete Cosine Transform(離散コサイン変換)から、また「SYPHONING」は動画処理を連携させるソフトウェアSyphonから採られた。DCTを擬人化したDCTシニアとジュニアの初めての「サイフォン(データ転送)」を通して、次々にデータを変換していく「複雑性の領域」を冒険する。シニアはジュニアに平面画像の複雑な生態系を案内し、動画圧縮における処理の単位であるマクロブロックの領域から、デジタル信号処理時に出るディザ、さらに複雑なウェーブレット処理やベクタ画像の領域へ移動していく。演算エラーをも物語の起伏とし、「技術」に対しユーモラスで新鮮な視座を与えている。

贈賞理由

瞬時に鑑賞者の目を奪う強烈な独自性に可笑しみが随伴した、「画像についての画像」の映像インスタレーションである。本作のテーマは画像圧縮技術が惹じゃっき起する視覚的乱れだが、それが面白いのはその技術に固有の特徴と本質がそこに立ち現われるからだ。作者はトランスコードすなわちデコードを介さない再エンコードを「サイフォン」と形容し、新旧の離散コサイン変換技術を「DCTジュニア/シニア」と擬人化した。また、エドウィン・A・アボットの小説『フラットランド─多次元の冒険』(1884)をもとに正方形もしくは立方体を主人公に据え、仮想空間に異なる圧縮法による平面領域を配置する。どれもが心憎い。(中ザワヒデキ)


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Rosa MENKMAN
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