文化庁メディア芸術祭
第22回

アート部門

優秀賞

discrete figures

ダンスインスタレーション

真鍋 大度/石橋 素/MIKIKO /ELEVENPLAY [日本]

©︎ Rhizomatiks / ELEVENPLAY
作品概要

数学的・集合知的な方法を通して身体表現をつくり出すダンスパフォーマンス。AIと機械学習によって身体像や動きを捉え直し、その数値データと分析結果をコレオグラフィに反映させた。具体的には、舞台映像や映画から収集したポーズデータとダンサーのポーズデータとの近傍探索システムを開発し、ダンサーがとったポーズと最も近しいポーズを持つ映像素材をステージ上に置かれた長方形のフレーム内に投影する。当日、会場ロビーで撮影した来場者の解析データとダンサーのモーションデータを用いて観客をダンサーとしてスクリーンに登場させる、などである。マイクロドローンやフレームといったステージ上の複数のオブジェクトは、さまざまなルール、アルゴリズムの下でダンサーの動きにリアルタイムで対応し、新たな身体表現が演出された。2018年よりモントリオール(カナダ)、サンフランシスコ(アメリカ)、東京、バルセロナ(スペイン)など、世界各都市を巡回している。

贈賞理由

何百年も続くダンスの世界で新しい表現が生まれるかもしれない。その鍵を握るのはディープニューラルネットワーク(DNN)といわれる新しい技術の出現だ。DNNは多層な人工の神経細胞システムである。そこにさまざまなアルゴリズムを追加することで、これまでなかった精度での画像認識や生成が可能となった。本作品はこのDNNの威力をいかんなく発揮させ、人間にはできなかった新しいダンス表現を志向している。ELEVENPLAYは女性によるダンスユニットである。しかし彼女たちがダンスをする相手は、目の前にいる生身の人間ではない。DNNによって事前に一般の人の動きから学習されて生成された、「仮想のダンサー」である。たぶんこれは現存するテクノロジーで生成できる最も進んだ仮想のダンサーであろう。これまでの人間の情動を抑え込んだフォーサイスや、その逆のピナ・バウシュらとは異なる第3項の新たなダンス表現の一端が垣間見られたことを評価する。(池上 高志)


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