文化庁メディア芸術祭
第21回

アート部門

新人賞

Panderer (Seventeen Seconds)

映像作品

Gary SETZER [米国]

© 2016 Gary Setzer.

作品概要

映像の中の作者が観客に語り掛け、その横ではコンマ100秒の単位で経過秒数がカウントされる。作者は「美術館で、平均的な鑑賞者がアート作品を見るのに使う時間は1作品につき約17秒であり、この映像作品はその制約を受け入れて17秒という理想的な鑑賞時間を正確に守っている」と語る。10秒を過ぎたあたりで、この作品で伝えるべき内容はすべて語られた旨が告げられ、17秒になったところで作者は口をつぐみ、画面が黒くフェードアウトする。映像作品は作品の意味を伝えるための重要な要素として時間に依存する。しかしこの作品では「平均的な鑑賞者」の非現実的な要求に従うことで、ある意味論理的な体裁を取りながら、アートを鑑賞するという体験に対して私たちが持っている期待感をユーモラスに皮肉っている。

贈賞理由

本作は、極めて今日的な芸術鑑賞の課題をメタ認知的にパフォーマンスしている。1990年代、美術館の観客はビデオアートや解説映像に2分で飽き、インタラクティブ作品を好むように見えた。「ミュージックビデオ/新たな感受性をのせて」展(東京都写真美術館、2002年)でミシェル・ゴンドリー特集を組んだとき「ミュージックビデオ脳か!」と「2分」の根拠が急に腑に落ちたが、さらに今世紀に入ってSNSや動画サイトに慣れた我々は、今やリニアな興味を「スキップできる広告+CF程度の尺」=約17秒しか持続できない、インスタ脳の観客になったのかもしれない。(森山 朋絵)


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