文化庁メディア芸術祭
第21回

エンターテインメント部門

優秀賞

INDUSTRIAL JP

映像・音響作品

INDUSTRIAL JP [日本]

© 2018 INDUSTRIAL JP

作品概要

日本の各地に点在する町工場内の音のフィールドレコーディング、工作機械が稼働する映像をサンプリングし、再編集によって楽曲化・ミュージックビデオ化して配信する音楽レーベル。バネやネジなどを製作する工場と多くのミュージシャンがコラボレーションし、アナログな工作機械の稼動音をクラブミュージックに仕上げ、2018年3月までに7作品がリリースされている。響き渡る機械の動作音と油に包まれながら動き光る工作機械は一定のリズムを刻み続け、それが美しい音と映像となって表現される。レーベル設立のきっかけは、グローバル化による国内産業縮小の影響を強く感じたことだという。日本の町工場の魅力を発信し、国内の製造業を盛り上げる一助となることを目指している。ウェブサイトには各工場へのインタビューが掲載され、音楽を通じて、町工場の高い技術力や、それにより生み出される最先端の製品の魅力を発信するプラットフォームとなっている。

贈賞理由

工場の技術力の高さと同時に存在する芸術的な美しさを、直感として伝えることに成功している。結果、7つの工場の魅力がこれまでにはないかたちで届けられることになった。そして音楽。工場で採取した音を使った7人のミュージシャンの楽曲が揃い、極めてユニークなクロスメディアのレーベルとなった。工場の魅力は、それ自体がオリジナリティを持った映像の無言の説得力によっても伝わったが、キャプション、インタビューなどの構成の点でも優れている。エンターテインメント/ドキュメント、アドバタイジング/エディトリアルといったカテゴリーも横断しており、さまざまな専門性を出会わせるかたちで、複層的かつ丁寧につくられている。内容と形式の両面で、変化しつつある時代の象徴性が高いレベルで集約されているように思われた。かつて「インダストリアル・ミュージック」という言葉は皮肉とともに使われたが、新たなステージに進んだ感がある。(佐藤 直樹)


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