文化庁メディア芸術祭
第22回

エンターテインメント部門

優秀賞

歌舞伎町 探偵セブン

体験型ゲーム

『歌舞伎町 探偵セブン』制作チーム(代表:加藤 隆生/西澤 匠/平井 真貴/堀田 延/岩元 辰郎) [日本]

©︎ SCRAP
作品概要

新宿・歌舞伎町の町全体を使った体験型ゲームイベント。セブン探偵事務所の7人目の探偵になるため、元ヤクザ、不敗のギャンブラー、金庫破りなど曲者揃いの探偵たちとともに、事件の解決を目指す。プレイヤーは受付で指示の書かれたゲームキットをもらったあと、実際の歌舞伎町の店舗に訪問して登場人物役のキャストに聞き込みをしたり、事件解決の糸口になるアイテムをもらったりしながら、謎を推理していく。加えて、動画の視聴やSNSアプリ「LINE」での登場人物とのやりとりなど、デジタルツールも駆使していく。事件は計6つで、すべての事件をクリアすると“最後の事件”をプレイすることができる。数々のリアル脱出ゲームを手掛けるSCRAPが積み重ねてきたリアルライブゲームの深化に加え、新宿の町の文脈の変化を捉えた展開も、プレイヤーが本物の探偵になったかのような気分にさせるのに一役買っている。

贈賞理由

探偵という職業をモチーフにした小説、映画、ゲームは膨大に存在する。この作品がほかと大きく異なるのは、自分自身が登場人物として物語に介入できる点である。歌舞伎町に実在するバッティングセンターやスナックなどを舞台装置として機能させる大胆な設定、それを具体化するうえでの細やかな演出が秀逸。作品として評価に値すると感じた。この新しい遊びのプレイ感覚は、読書とも観劇とも、ゲームともリアル脱出ゲームとも異なる。今後の展開次第では、さまざまな職業に内在する個人的な体験を、実在する町やシチュエーションとともに物語として提供していけることになる。カジュアルな職業体験ができる装置の代表としてカラオケがある。この遊びを水平展開していけば、やがて探偵以外の職業にも光を当てることになる。シャッターを閉じてしまった町でさえ、蘇る可能性がある。いわば町ぐるみの新しいカラオケ。その可能性に、大いに期待している。(川田 十夢)


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