文化庁メディア芸術祭
第22回

エンターテインメント部門

優秀賞

LINNÉ LENS

アプリケーション

LINNÉ LENS制作チーム(代表:杉本 謙一) [日本]

作品概要

スマートフォンをかざすだけで、約10,000種の生き物の名前が瞬時にわかるAI図鑑アプリで、近代分類学の父、カール・フォン・リンネの名前にちなんで名付けられた。スマートフォンのカメラをかざすと生き物の名前が瞬時に表示され、生き物のイメージをタップすると、イラスト入りの解説が表示される。スキャンが成功したときの認識精度は平均90%前後で、対象となる生き物が動いている場合や複数の種類が写り込んでいる場合にも、瞬時にそれぞれの生物名が表示される。日本の水族館と動物園の生き物の9割に対応しており、系統樹から見つけた生き物たちのつながりを閲覧したり、ユーザーが撮影した写真と解説を合わせて世界にひとつだけの図鑑をつくることもできる。また、画像認識はスマートフォン上でリアルタイムに処理されるため、海中や山奥といった携帯電波の届かない状況でも利用可能。AR(拡張現実)とAIの融合による新しい教養系エンターテインメントの試みとなった。

贈賞理由

人工知能や画像認識といった最先端技術のことを忘れてエンターテインメントとして楽しめるほど、このアプリの性能は確かなものであった。世界初のAI図鑑という触れ込みも、まったく誇大ではない。むしろ、謙遜しているように感じる。現時点で、日本の水族館にいる9割の生物を認識し、その数は今後も増えていくという。実際に水族館で利用してみると、そのスムーズなトラッキングにも驚く。まるで、海洋学者の目をダウンロードしたかのような体験。専門家が積み上げてきた経験、そして養ってきた眼が2秒で手に入る。やがて料理人の舌や音楽家の耳、そして彫刻家の指先に至るまでダウンロードできるようになるだろう。まさに次の時代のエンターテインメントの幕開けを感じる。かざすたびに、図鑑が完成してゆくユーザー体験も、よく考えられている。やがて教養と娯楽の架け橋になるであろう、重要な作品である。(川田 十夢)

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