文化庁メディア芸術祭
第21回

エンターテインメント部門

優秀賞

PaintsChainer

ウェブ

米辻 泰山 [日本]

© 2017- Preferred Networks, inc.

作品概要

アップロードした線画をAIが自動着色してくれるウェブアプリケーション。着色のテイストは淡く柔らかい階調の「たんぽぽ」、ムラのないグラデーションで着色する「さつき」、強めの階調にハイライトと陰影が出る「かんな」という擬人化された3種のAIから選ぶことができる。自動着色の後には任意の範囲に彩色の指示をすることで、より自分の意図に沿った色調へ変えることも可能。また、鉛筆画などのラフな絵を線画にしてくれる機能も用意されているので、例えばノートに描いた絵を撮影し、その写真を線画にして着色するといった作業も実現できる。プロ、アマチュアを問わずイラストやマンガの制作手法に大きな変化を与えるサービスであり、公開後は世界中からアクセスが集まり数日で100万アクセスを達成した。開発者の米辻泰山はニューラルネットワークを使用して画像生成を行うアルゴリズムDCGANを応用して本サービスを制作。プログラムをオープンソースで公開しており、機械学習分野の最先端の事例として研究対象にもなっている。

贈賞理由

言うまでもなく、日本のコンテンツ産業の強みの土壌となっているのが、独自進化を遂げたマンガ・アニメ的な絵柄の様式性に依拠した同人創作の文化だ。その厖大な蓄積を教師データに「それっぽい絵」のパターンをAIに学ばせ、自動着色を可能にする支援プラットフォームを、誰もが利用可能なウェブサービスとして提供した意義は大きい。日本マンガが歴史的にモノクロ中心の出版事情下で発展したこともあり、アマチュアのイラスト描きにおいて「塗り」は最も高いハードルのひとつ。その工程を手助けすることで〈作品〉制作に資するのはもちろん、〈遊び〉に近い落描きであっても、ひとまずのビジュアル体裁を得、コミュニケーション表現としての生命を帯びうる点が、現時点における本サービスの白眉だろう。コミュニケーションとクリエイティブが交錯する土着の環境にテクノロジーが新たな沃野を拓くさまは、かつての初音ミク誕生の光景をも彷彿とさせる。(中川 大地)


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