文化庁メディア芸術祭
第22回

マンガ部門

優秀賞

宇宙戦艦ティラミス

原作:宮川 サトシ/作画:伊藤 亰 [日本]

©︎ Satoshi Miyagawa Kei Ito/Shinchosha

作品概要

地球連邦政府と宇宙移民との抗争が激化する宇宙暦0156年。戦局を打開するために、地球連邦は最新鋭の宇宙軍用艦ティラミスを出航させた。ティラミスの若きエースであるスバル・イチノセは、眉目秀麗、成績優秀な天才パイロットだが、ティラミス艦内の集団生活に馴染めず、彼の専用機である汎用人型機動兵器デュランダルのコックピットにひきこもってばかり。気の合わない仲間との食事を早々に済ませ、一人串カツをコックピット内で食べようとして、衣やキャベツを無重力空間へばらまいてしまうなど、奇行を繰り返している。宇宙移民との戦いよりも、スバルの自分だけの世界を守るための戦いを描いたギャグコメディ。機動兵器のコックピットやティラミスの艦内の設備などは緻密に描き込まれ、本格的なSF作品のような重厚な画風であるが、繰り広げられるのは現代の日本でも起こり得る日常的な笑いだ。2018年にはテレビアニメ化、舞台化され、それぞれのメディアでこのギャップが笑いを誘う。

贈賞理由

マンガの本領は何といっても「ギャグ」であり「おちょくり」であり「パロディ」であり「アホ」であります。「笑い」という人間の最も高度な感情に比べれば、「お涙」だの「抒情」だの「芸術」などは二の次、三の次なのであります。「ユーモア」の語源が「ヒューマン」であることからもわかるように、「笑い」こそが人間の証であり、特権であり……とまあ、このくらいにしといてやりますが、常日頃「感動的な作品」を選びたがる当審査委員たちが、この『宇宙戦艦ティラミス』のアホさには思わずたじろぎ、揃って高得点を入れてしまったという事実が、本作の「問答無用のおもしろさ」を物語っているのですね。これほど「超絶的画力」を無駄使いした贅沢な「おバカマンガ」は類がありません。本作を読んでから「ガンダム」「ヤマト」「エヴァンゲリオン」などを観ると、なぜかすべて笑えてしまうという、「価値観を変えてしまう毒」こそが「ギャグマンガ」の恐ろしさなのですね。(みなもと 太郎)


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